帰り際、財布を出そうと鞄をガサガサと漁っていた。そして取り出した、と同時に私の手がお冷のガラスコップに触れて。
こけてそのままテーブルから落ちたそれは、ガラスが粉砕されたかのような大げさな音を立てるから。
――ガッシャ―ン!
自分も驚いたし、周りの人の視線まで集めて、ひ、と顔が熱くなった。レストランのスタッフさんがこちらに寄ってきて、大丈夫ですかと声をかけてくれた。凛上の前で初の失態である。
弁償しますと言ったけれど、スタッフさんは「弁償などは本当、お気になさらないでください」と笑ったから。凛上も大丈夫だと言ってくれた。私は不安になりながらも、その後会計を済ませて凛上とレストランを出た。



