合宿が終わった次の日は、普通の授業があった。


その日私は、朝から凛上と廊下で会った。凛上のことは覚えていた。
なんなら合宿のことも鮮明に覚えていた。


「大丈夫?」


凛上は私を見つけるなり、こちらに寄ってきて心配してくれた。私はそれはなんの大丈夫かは分からなかったけど、「全部覚えてるよ」と笑って言った。そしたら何を思ったのだろう。

凛上はいきなり私を抱きしめたのだ。感極まって涙することはなかったが、その時間帯は朝登校してきた人も多く、じろじろと周りの人に見られたりして。「旭さんじゃん」「凛上? ヤバ」と静かに騒いでいる人。黄色い悲鳴を上げる人もいて、私は思わず凛上のことを突き放してしまった。


「ごめんごめん。じゃあ、またあとで」