私は先輩のことを本当に尊敬していた。優しいし、面白くて。



そして書道部で一番字を書くのが上手い、と言われているのが三年生、現部長のこの、河井先輩なのだ。


いつも四文字や六文字など、短い文字を書いているけれど、楷書も行書もなにを書いても綺麗だった。字の大きさ、はらい、はね、とめ、の正確さ。



丁寧でどこか大胆で、墨で字を書くことでまるで操っているみたいな、魅力的な字を書く河井先輩は、私の憧れだった。

なりたい存在。
でもなれない存在?



先輩の作品を掲示板にとめると、その迫力に圧倒されてしばらく立ち尽くしたままだった。