「頑張りすぎて壊れたら自己責任とか、バカみたいなこと、言いやがって。俺の気持ちなんか、なんにも知らないくせに。みんな、みんなバカなことを言うんだよ」
小麦色の砂の上に爪を立てる。さらさらとした砂は掴み上げても簡単に逃げた。旭は呆れずに、変わらずに俺の隣に座っていてくれた。
「凛上くん、そういうこと、どうして誰にも言わないの?」
旭がポツリと呟いたことが、熱くなった頭に響いて静かに広がる。熱湯の上に一つ、冷たい水滴が、氷の粒が落ちたみたいだった。
「陸上やってる人ならみんな、分かってくれるはずだよ。あなたがどれだけ苦しんでいるかははかれないことだけど。苦しい感覚は分かってくれるよ」
旭は正しい。
俺は間違ってる。
バカだから、さあ。
「はかってほしいんだよ! もう、なんでもいいからさ、俺のこと助けてほしい」



