最後の悪夢


「水で濡れてないところ、上がろうよ。そこで話そう?」



旭の提案に頷く。濡れた足に乾いた砂がこべりつく。俺達は砂浜の上に並んで腰を下ろした。

旭は俺に尋ねた。



「陸上続けたかったんでしょう」




どうしてこうも核心をつくのが上手いのか。しかし驚きはしなかった。

「そうだよ」と、思っていたより早く本音がこぼれた。隠すこともできなかった。いや、旭の前では隠すことなんて無意味な気がしたからか。


口から思い切り吐き出すみたいに、俺は次の瞬間から、暴走した。


「努力して叶わなくなる夢ってなに? 頑張りすぎるなってどういうこと?」



少し本音を話しただけなのに、もう止まらない。今まで少しだって自分の本音を真剣に話したことはなかったから、その反動かもしれなかった。