最後の悪夢






海にはすぐに着いた。

徒歩十分程度。外は風もあったけど今日は比較的暖かい日だと思う。


布団から出る時にさらっと学ランを羽織った。替えのシャツはキャリーケースの中においてきた。不潔だけどどうしようもない。

カッターシャツの血の汚れには旭は気づいていない。今日は。今日だけは、何もかも忘れて過ごしたかった。


「すごい」


隣を歩く旭が堤防の奥に広がる海を見て、思わず呟いた。

空の青を反射して深い青に染まっていた。澄みきった青に潮風の香り。俺達は誘われるように堤防に近づいていく。だんだん早足になった。


波が引いたり押し寄せる音が近づいてきた。薄い小麦色の砂浜が見えた。