最後の悪夢


部屋の座椅子に腰掛けてテレビを眺めている俺。窓際の椅子に座っている旭。謎の距離感。

さっきから明らかにソワソワしている彼女の様子を、気づかれないようにちらちらと見ていた。が、俺はとうとう笑ってしまった。



「なに隠してるの? 言いたいことあったら言ってよ」

「......うん」

「なに?」

「シオンさんとはそういう仲じゃなかったの?」



どうして花巻のことが気になるのだろう?


「うん、普通に友達。陸上部でよく話す仲だった。二年で陸上やめてからも」

「やめた?」



旭が言葉を繰り返して初めて、自分が口を滑らせたことに気づいた。うっかりだった。まあ、いいか。