最後の悪夢

早く行かないと、と思いながら再び歩き始めた。



「足が動くなら、担いで……走るの?」



旭がふと、そんなことを尋ねてきた。


「えぇ?」


いきなりのことで笑ってしまった。寝ぼけているのか?と一瞬思った。

でも記憶を辿ってみたら、繁華街の時、そんなことを口にしたような気もした。俺が死にかけでも、できるなら、旭のことは助けたい、って。

そう言いたかったんだ。だから、遠回しだけどそんなことを言ったんだ。ああ、だんだん、記憶が鮮明になってきた。


間を置いてから、「そう。そうだったな」と俺は言った。


でも。俺は嘘つきだったよ。