目を覚ましたのはタクシーの運転手に起こされた時だった。
俺はすぐに制服のズボンの後ろのポケットにいれてある財布を出して、お金を払った。
キャリーケースは彼が旅館まで運んでくれた。俺はまだ眠っている旭の体をなんとか上手く背負って、車から離れたのだけれど。
それまでだらんとしていた旭の体が急に重く感じて、俺は違和を感じた。
そしてそれは間違いではなかったよう。
「ありがとう」
背中からくぐもった声がした。俺はハッとして立ち止まった。「起きた?」と尋ねたら、「うん」と返事が返ってきた。
旭が目を覚ました。



