最後の悪夢


花巻には本当に世話になったと思う。俺のことを思いやりをもって見ていてくれた。

でも作り笑いとか、咄嗟に癖が出たりするのが抜けなくて。

俺悪いことしたよな。
なんで心を開けなかったんだろう。そんなに陸上の出来るやつが羨ましかったの?

じゃあ俺って最低だろう。
信じたくない人には冷たくするのか。


……花巻。もう、いないけどさ。



吐息がガラスに触れて白く濁らせる。街灯が淡く滲む。夜明けまで時間はある。

俺は静かに目を閉じた。

車の振動に揺られていると睡魔に誘われて、そのうち意識が落ちていった。