最後の悪夢


あのとき頭は打ってなかったかな、と、一つ結んだゴムがゆるくなってとれそうになっている髪の毛を見る。

髪の毛を結んでいる所はあまり見ないから新鮮だった。でもずっと、可愛いな、って伝えるタイミングがなかった。


それから彼が電話をしながらペコペコと頭を下げている様子をぼんやりと見ていた。

彼は額の汗を少し拭ってから、携帯電話を耳元から話してこちらに振り向いた。



「一部屋空きがあるらしいですよ。今からでも用意できますって」


早まる気持ちを抑え込んで尋ねる。
期待してしまう。こんな展開そうそうない。


「値段とかも分かりますか?」


そうして彼が教えてくれた値段は、俺の手持ちのお金で払える金額だった。学生料金ということで安くしてもらえたのだ。

俺は携帯を借りると、画面の向こうの女性と少し話した。宿主らしい。落ち着いた雰囲気の人だった。