最後の悪夢


みんな他人事なんだ。
別世界に来たみたいだった。



「大丈夫です。力はあるので」



怒りを抑え込んで無理矢理笑った。
フロントの女性は「わかりました」と言った。それだけだった。

そのうちタクシーの運転手の姿がガラスのドア越しに見えると、俺はホテルを出てタクシーに乗り込んだ。

自分のキャリーケースは友達に預けた。ゴミ捨て場まで運んで処分してもらうように頼んだ。

旭のキャリーケースは一応、大切なものが入っているかもしれないから、持っていこうと思う。

俺は先に旭を、タクシーの後部座席に下ろして、白のキャリーケースをトランクに入れた。



「お客さん、どこまで?」