絶対にこんなことないと思っていた。
俺がこんな性格だから、きっと段階を踏んで徐々に好きになっていって、気も遣わなくなっていって、付き合ったりするのかな、なんて。
そんな考えをすっ飛ばして好きになった。いつだったか。もう忘れたけど、かなり前。
気づいたら廊下ですれ違うことを期待して、見かければ一方的に目で追うようになった。
なんだろうな。
なにが俺をこんなに好きにさせるのか。
「凛上、どんな人が好き?」
友達が前にこんな質問をふっかけてきたことがある。休み時間に。あれは返答に困った。
「常識はあってほしい」
「賢い人?」