私は耳が近くにあるからなるべく声のボリュームを落として「ない」と答える。
こういうの、無自覚?
こっちはこんなにもどきどきしてしまうのに。
でも、気持ちが楽になって、嬉しい。
辺りが暗いため後方から伸びるホテルの明かりが頼りだった。それに微かに照らされる凛上の横顔が、とても綺麗で整っていて、思わず見とれてしまう。
この人にはどれだけ助けられたか、と思いながらじいっと見ていたら、私の視線に気づいた凛上が「なに」と呟いて。
「俺にも来てほしい?」
にやりと笑う凛上。
私は顔が熱くなって「はい!?」と裏返った声で反応した。なにそれ!?



