スマートフォンを取り出してこの辺りの位置情報を確認する。私達がいた町からは大分離れている。
ホテルに事前に直接運んだキャリーケースの中に予備のお金があった。今もキャリーケースは手元にある。
凛上もキャリーケースではないけれど、黒の大きな鞄を持っていた。
お金があるから部屋でも借りて休もうかな。ネットカフェとかあったらいいんだけど。
スマートフォンで探すが、なかなか辺りには見つからない。私が住む町もそうだけど、この辺りは大分田舎だから。
丘の上で高い位置にあるホテル。真っ直ぐ前を見れば、暗い中でも海が見える。
海か……海も行きたいな。
でももうそんな体力もない。
霞む視界。目を強く擦る。



