いざというときになにもできない自分が本当に、本当に嫌だった。
何かあっても他人事だと片付けて、流そうとして。入川くんのことも、名木田くんのことも、シオンのこともそうだ。
なんて冷たい人間なんだろう。
どうしてこうなってしまったんだろう。
どこから間違えたのか。
根っからの悪人だったのか、私は。
意気地無し。馬鹿だよ。本当に、馬鹿。
「なにかできるんじゃないかな。やっぱりなにもできないのかな。って、そればっかり。悔しかった……今も悔しい。こんなゲームに参加しなきゃよかった、って……考えるの」
「うん」
「助けたい人が沢山いたんだ」
私が泣き崩れると、凛上は私の腕を掴んでいた手をほどいて、ゆっくりと、私の背中に腕を回した。
柔らかく包み込まれる。
親にこうやって抱き締めてもらったのはもう何年前だろう。
誰かに抱きしめてもらうと、こんなにも安心するのか。



