「なにかしてほしいことはある?」
「死ぬところは、見られたくない」
「……出ていった方がいい?」
「任せる」
もう、声を出すのもやっとだったのか。
「ありがとう」
囁くようにそう言ったのを最後に、シオンは喋らなくなった。
話しかけたいけど、無理はさせたくない。
ただなにもしていないとこのまま、静かにシオンは消えてしまう気がした。じっとしていられなかった。
お腹に置いたタオルを持てば、掴んだ手にじんわりと滲むほど、生温かい血を吸い尽くしていた。
私は変えに行こうと思ったけど、凛上が私を止めた。「部屋から出よう」──凛上の声がやけに耳についた。



