最後の悪夢


痛いなら我慢しなくていい。
辛いなら甘えてもいい。

そんな考えを覆すようなシオンの態度に、不思議と苛立ちの感情は感じなかった。むしろ、ひたすらに、寂しかったと思う。



『簡単には死なないって、そう言ったじゃん。前言撤回とかしないから』



シオンは苦笑した。

意地でも頼らないとでも言いたげな顔だった。凛上は「わかった」と言っただけで、それ以上はなにも言わなかった。

私もその時は、なにも言わないことが正解だと思った。





ただ、名木田のいる部屋に鍵を閉めて、そこを離れてすぐに、シオンは立っていられなくなってしまった。


呼び掛けても答えることが辛そうで、凛上は本人の意思も聞かないまま背負い、どこかに運んで寝かせようと提案したのだ。