「トイレは……死体が多かったな。女子のとこも?」
「うん」
レストルームの前を通りかかり、そんな話になった。
ゲーム大会後半、何故か個室にこもって死ぬ人が多かったのだ。
死体を直接見たわけではないが、推測はできた。ずっと閉まりっぱなしの個室で、ドアの隙間から足が出ていたり影がのびていたり、床を垂れ流れた血が侵食していた。
自殺、も。
考えていたのかもしれない。こんな状況だから、死にたくもなる。
「旭の自室は? 四階だっけ」
尋ねられて「うん」と頷く。
「いいよな、行っても。たぶん鬼もいないだろうし。あいつら内側から閉めても鍵開けてくるけど」
「それ本当?」
「うん。俺自室にいたときに開けてきたもん」
「えぇ」と思わず驚いてしまう。



