「鬼は?」凛上が尋ねてきた。
「まだなにも。中にいると思う」私が答える。
時間が経てば経つほど不安になってきてしまう。鬼がいつ出てくるか分からないこと。中にいるイツキのことも。
凛上は名木田に鍵を渡した。
私は泣き顔を見られるのが嫌で俯いていた。シオンも泣いていた。
唯一泣いていないのは凛上だった。
凛上は、強いんだな。
「ごめんって、謝り、たいなあ」
名木田がそんなことを呟くのを聞いたら、また涙がどんどん溢れてきて。
どうしよう、私はバカなことを言ったんじゃないか、間違いだったんじゃないか、本当は助けられるんじゃないか。って。
後悔と自責の念が頭の中を駆け巡ったんだ。



