どういうことですか、と凛上は聞いた。私の口からはなにも言えない。
黙っている私の代わりに鬼は、その低い柔らかな声で、優しく丁寧に話してくれた。
「私は生徒が二人で参加するゲームを担当しております。
たった今一人が彼女に決定したところ。彼女は自分と関係のある人を待ちたいと言った。
君は彼女と仲が良さそうだ。もう一人は君でいいかな、と聞いています」
「彼女は辞退できないと?」
「そうですね。彼女は運が悪かったということで」
鬼に掴まれた腕には強い力がこもっていた。振りきることなどできない。
ドクン、と心臓が跳ねた。
冷たい血が体の中を流れていた。ああ......なんでこんなことに。