「普通に動くよ。治った」 心配する表情がだんだん崩れて、花巻はなんともいえない呆れたような、面倒くさそうな顔をした。 「でもありがとう」 俺は花巻の頭をぽんぽんと撫でた。 花巻はなにも言わなかった。 俺はそおっと部屋を出て、さりげなく鍵を閉めた。もうこの部屋には誰もいれない。 ……俺だけが知っていればいい。 俺の汚いところなんて誰も知らなくていい。それが一番平和だ。正しいことだ。