── 確かに人通りは多いと思う。 足音のようなものがよく聞こえてきた。 ただどれも急いでいるよう。この部屋があることすら忘れているような、反応の無さに、次第に不安は募っていった。 どこかから聞こえる悲鳴も、聞いているだけで精神が狂いそうな思いだった。 狭い空間。便座に蓋をしてその上から腰掛ける。気は休まらなかった。 立っていても座っていても過ぎていく時間のスピードは変わらない。 女性がいるのかさえ不安になる静かさだった。じりじりと、浸食されるように、心が蝕まれていく。