「旭は? 大丈夫?」 「うん? うん」 どうしてか聞き返された。 戸惑いながらも答える。ふと口元に水滴がついていることに気づく。 やっぱり、気持ち悪くて戻したのか。 私は制服のポケットからハンカチを取り出した。キャリーケースから出した新しいものだから、汚くはないと、思う。 「口のまわり濡れてる。拭いていいよ」 「ありがとう」 凛上はキョトンとしていた。 遠慮がちに薄黄色のハンカチを使うと、「今度洗って返すわ」とそのまま回収された。 「もう一時過ぎた?」 腕時計を見れば過ぎていた。