そのバイオリンの音に気をとられていた。誰もが、何も疑っていなかった。なんの曲なのかも分からないまま見とれて、釘付けになって。 私と凛上も彼らのうちの一人になっていた。 それが鬼だなんてどうして思うのか。 こんなにも綺麗な繊細な音を出せる? 感情がないわけがない。思いやり、優しさに溢れた音。 コンサートが終わる時間まで、それは続いた。 終わったのはバイオリンの音が消えた瞬間。何もかもが、一瞬で終わった。 階段の頭上にあった大きなシャンデリアが、私達の前に降り注いで。