けれどもその奥に秘めた優しさは、隠しきれていなくて。私を見て優しくゆるく結んだ唇に、その微笑みに、なにも考えられなくなって。 凛上は私が隣に着くなり、後方に向かってガラスのコップを投げた。 また割れたような音がして、今度は次に、なにかが階段から落ちるような音がした。転げ落ちるような。 私も、シオンも、それがどういうことかわかった気がして、怖くて振り返れなかった。 凛上は直視したのかもしれない。 でもすぐに目を反らして、「もうひとつ上の階に上ろう」と言って。