「みさきちゃん、ちょうどよかった! ちょっと手伝ってほしい」
部室に着くなり、沢山の文字の書かれた大きな半紙を持った河井(かわい)先輩に声をかけられる。
「あ、はい!」と返事をして駆け寄れば、テープを持っていってほしいと頼まれた。
河井先輩の友達だろうか。「後輩ちゃん今来たばっかりじゃん」「かわいそうだよ」とこちらを見て笑っている人がいた。
私は彼女たちに向かってそんなことないですよ、と苦笑いすると、再び職員室へ降りていくために部室を出た。
「ごめんねえ、作品がただでさえ大きいからテープとか名札とか、持ちきれなくて。こういう時部室が近かったらなあ、よかったんだけど」
河井先輩が申し訳なさそうに言った。