バスは一人で席に座った。
気持ち悪いくらい静かなバスの中。出発してからもずっとその空気は続いていた。
次に向かうのはホテルだというのは知っていた。
ただしおりには詳しい予定は書いていない。書いてあったとしてもそれは架空の合宿についてのデタラメだ。
まあそもそも、しおりも鞄に置いてきてしまったからどうでもいいんだけれど。
これが、この地獄が架空なら、どんなによかっただろう?
鼻をすする音、誰かの泣き声が精神をじわじわと蝕んでいく。
私だけは強くいたい。
私だけは強くいたい。
じゃないとこれからなにもできない。
一人ぼっちになれば私は本当におしまいだ。



