最後の悪夢


学年主任がそもそも合宿にいない時点でおかしかった。今考えればおかしな点はいくつもあった。


先生の忠告も先輩の言葉も、勉強道具が要らないこともお金が大量に配られたことも。


でも私は気づかなかった。
気づいたらもう遅かった。吐いたときに受けた鞄にお金は入っていたけど、もう道端においてきてしまった。

私が今持っているものはハンカチとティッシュとスマホのみ。


あまり中身の入っていなかったティッシュも先ほど足の血を拭ったときに使ってしまい、残りはほとんどない。

なにも、できない。
……。



なにも、したくないかもしれない。