足がなかった。


声を上げた女子生徒に背負われて項垂れている女の子の、両足共、膝から下が千切れていたのである。芋虫を引きちぎった時のようなぼろぼろの断面。

ショックで嘔吐する人もいた。好奇心に負けてもう一度見ようとしなくても、頭からその様子が離れなかった。



「こちらで処置します」

「死なないですか!? 死なないですよね、お願いします、助けてください助けてください……!!」



先生が他の応援を呼んで、間もなく担架が運ばれてきた。それに乗せられる様子。引き渡される様子でさえ絶望する。

半分死体のような状態の、白い顔の女の子。人形のようにも見えた。

空気が冷たい。
周りも言葉を失い、ただその様子を遠くから眺めていた。



「花巻(はなまき)さんは悪くはありませんよ。大丈夫です。今は心配しないで、自分のことを考えてください」


……ああ。