この人も私のことを知っているのか、と驚いた。

容姿はともかく名前だけは有名になってしまうみたいだ。男の子は私を見て、名前と顔をようやく一致させたよう。



「はい。途中で助けてもらって」



首を傾けてニコッと笑うと、男の子は少し意外そうな顔をしてから、にやにやしていた。


「へえ。そうなんすね。まあ、こいつ足だけは速いし」


「余計なこと言うなよ」と凛上が彼の脇腹をつつく。仲良しなのか。この人、学校のあの屋根裏部屋にいたっけ?


ぼんやりとそう思っていたら、唐突に、遠くから悲鳴のような声がした。





「先生ぇ!!! 」