〈頑張って? ……本当にがんばって。私には、なにもできないけど〉
先輩はそう言って電話を切った。
ツーツーと無機質な音が私と、凛上の間に響いた。今度は私が電源を切った。
「なんて?」
凛上が、尋ねた。
くらくらした。
息をするだけで心臓が削られていくように、胸がズキズキと、深く痛む。
「安全な場所はないって。もう、思い出したくないから、なにも教えられないって」
頭が真っ白だった。
同時にバカみたいに悲しかった。
先輩にかけた期待を裏切られた。ショックだった。勝手に期待して裏切られて落ち込む私の癖。



