最後の悪夢


血。


足の皮膚が綺麗な線を描いてスパンと切れていた。



「……!!」



意識した途端に痛くなってきた。が、足を止めるわけにはいかない。この道ではすぐに鬼が回り込んでくる。

ドクドクドクドク。鼓動が焦る。


凛上は足が速かった。
本当に速かった。

私はすぐに彼を見失いそうになったし、彼もすぐに私のことを見失いそうになった。


だけどお互いに気を遣う暇もなかったのである。

彼がこちらに気づいたらなんとか、調整して走るスピードを下げて、私は力を振り絞ってそれにようやく追い付く。

驚く群衆を抜ける。