最後の悪夢











鬼と鉢合わせた時の異常な焦りと、まだ死んでいないという底知れない安堵。

何度も何度も繰り返す感情はまるで、大きな一つの波になったみたいだった。上下する度に疲労がじわじわと蓄積していくのを感じた。
この先我を保っていられるのか不安になった。



さっき地面に捨てられていた空の深いエメラルド色のワイン瓶が、私の両手に握られている。

護身術なんて知らない。

武器を振り回して走って逃げて、でも誰も私たちの味方はしてくれなかった。野蛮人でも見るような目だった。