最後の悪夢


「いやあ。でも、足が動くなら、担いで走るかも」



「うそ」と噴き出して横目で彼をみたら、ふっと静かに凛上も笑っていた。人のことを良く見てるんだな。凛上も、私も。

誰かを笑わせる言葉を知っている。

和ませる力がある。

同じ波長。不思議な空気。
一緒にいて居心地がいいの。こんなのはじめて。



私達気が合いそうだね、と私は言った。


「さあ」と目を閉じて首をかしげた凛上は、やっぱり不思議だった。不満そうで、嬉しそうで、よく分からない。