振り返ったらいけないと思った。

立ち上がると、スカートについた砂を払って、鞄を持って凛上に続く。

凛上が私の前を走ってくれる。今はただ、それだけが私の救いのようだった。



だけどそれからすぐに私は、立ち止まってしまった。自分を騙しても、最後まで騙しきれなかった。

あの光景が頭から離れなくて、だんだんだんだん気分が悪くなってきて、頭がくらくらしてきて。


気づいたら視界がひっくりかえって、一瞬の浮遊感と、地面に打ちつけた体に走る、骨まで響くような鈍い痛み。

それでも凛上にこんな無様な姿を見られたらと思うと悔しくて、なんとか立ち上がろうとした。