「何してんの?」
「っ!」

振り向くとそこには維月がいた。濡れた髪を肩にかけたバスタオルで拭いながら。私の手には両手で包み込むように持った維月のスマホ。ロックを解除して、通話履歴をチェックして、LINEのトーク画面を開いて…

安堵の息を吐こうとしたとした瞬間。一気に息を詰めた。

「待ってそれ俺の、」
「ごめ…」
「見たんだ、」
「見て、」

見てない、なんて言えなかった。だって画面はロックが外れた状態で私の手の中にある。でも”見た”と言えるほど私は強くなかった。

「俺のスマホのロック、解除しちゃったんだ?で?何してた?」