なみだ雨の夜。
彼は、何も、悪くない。


「友達と飲むから今日は自分の家に帰るね。」

勝手に不安になって。

「撮影押してて帰るの遅くなりそう!まじでごめん!!!」

勝手に疑って。

「仕事の話だからあっちで話してくる。待っててね。」

疑う心が積もってた。これは裏切り行為だ。彼を信じてるって口では言いながら、全然信じてなかった”私”を証明する行為。

ドキドキを通り越して、バクバクと存在を主張している心臓。震える指先、でも、それを動くのを止められない。