「言わない方が、不安、だよ……」


「ごめん」


謝罪が今の私には、重たい。


逃げ出したい、この場から。


「文化祭、百合さん、と、なんで一緒に、いたの?」


聞きたくないのに、つい聞いてしまう。


「ごめん、百合が校内で迷ってて、助けたら、成り行きで」


成り行きで……。


成り行きでも、2人ではやだよ……。


「不安にさせた、ごめん」


頭を下げられて、もうどうしたらいいのかわかんない。


「顔、上げて……」


そう呟くと、上原くんは困ったように顔をあげる。


「幻滅、した?」


上原くんが申し訳なさそうにこっちを見る。


「しない……。好き、上原くんが」


そう言うと、ぬくもりがやってくる。


「俺も、好き。蘭……」


名前を呼ばれて、頰が熱くなる。