「上原くん、一緒に帰ろー?」


「すいません。一緒に帰る人、いるんで」


上原くんは、きっぱり断った。


「ええー、いいじゃない」


その言葉と同時に中から上原くんが出てきた。


喜んだのも、つかの間。


追いかけるように水谷先輩がきて、自分の腕を上原くんの腕に絡ませた。


やだ……。


「っ!」


私は、上原くんのところまで行って絡まされてない方の腕の袖を引いた。


でも、すぐに恥ずかしくなって手を離す。


「へえ、2人ってそういう関係だったの」


水谷先輩を見ると、意地悪に笑っていた。


「でも、上原くんは敬語だし、全然恋人っぽくないわよね」


恋人っぽくない……。


さっきも言われた。


やっぱり、そんなふうに見えるのかな。


「水谷先輩、俺たちはこれでいいと思ってるので」