誰よりも近くで笑顔が見たい

ビクッと、心臓が跳ねる。


「うん。ほら、あそこのマネージャーの人」


え?


同じ方向を見れば、そこには上原くんと一緒にいる水谷先輩がいた。


「えっ?私、高嶺の花の子って聞いたよ。高坂蘭ちゃん」


私の名前が出てきて、また心臓が跳ねる。


「えっ。あの子、男嫌いでしょ?」


「それがね、さっき一緒にいるとこ見たの。
帽子被せてもらってたんだけど、上原くんは敬語だし、高坂さん全然しゃべらないし、恋人っぽくないなって思ってたんだ。
やっぱり彼女って違う人だったんだね」


悪気は、ないはずの2人の言葉が刺さる。


恋人っぽくない。


敬語、全然外してくれない。


名前だって、呼んでもらったことない……。


本当に、恋人同士なんだよね……。


こんなんじゃ、水谷先輩とお似合いって言われてもおかしくない。