日曜日、指定した時間に家を出るとなのちゃんがいた。


動くと夏祭りで上原くんからもらったあの髪飾りとポニーテールが揺れる。


まだまだ暑くて、日向に出るとズキっと頭が痛む。


でも、すごくわくわくしてる。


30分くらい歩くと、観客席のあるサッカーコートが見えてきた。


あとから知ったんだけど、今日って地区予選の決勝戦なんだって。


これに勝てばに県予選に出られる。


そんな、大事な試合なんだって。


「あれ、桜玖？」


なのちゃん、何言ってるの？


そう思いながら、なのちゃんの視線の先を見ると、上原くんと杉本くんが立っていた。


どうしたんだろう。


そう思いながら、通り過ぎようと歩くと誰かから声をかけられる。


「ねえ、席ってとった？」


知らない男の人からの突然の問いかけに答えることができなくなってしまった。