人が少ないのは、なんだか不思議だけど下を見るとその理由は、すぐにわかった。


すごく、高い。


登るのに疲れる上に下を見ると、急な階段で足がすくむ。


「高いっすね、ここ」


「うん」


「大丈夫っすか?」


「うん」


本当は、怖い。


高くて、下を向いたら落ちてしまいそう。


「さっきの、話の続きなんすけど……」


そう言って、上原くんは切り出した。


はぐらかされたわけじゃ、なかったんだ。


「俺なら、そんなことしない」


真剣に、真っ直ぐに見つめられる。


いつもなら目を逸らしてしまうけど、今は逸らさない。


逸らしちゃ、ダメな気がする。


「好きっす。高坂さんのこと」


上原くんが、好き……。


私のことを。


「本、当に?」