「なあ、あの子めっちゃ可愛くね?」


「お前、知らねーのかよ。有名だぜ」


「やっぱ、可愛いよなー!高嶺の花」


「名前は確か……、高坂蘭ちゃんだ」


向けられる視線には、好奇を感じる。


物珍しいものを見るような、展示物を見るような視線。


さっき名前を言われたのは、私、高坂蘭。


その視線から逃れるために親友のところへ向かう。


「なのちゃん、帰ろ?」


「うん、帰ろうか」


優しく言ってくれるのは、山内 菜乃花ちゃん(やまうち なのか)。


なのちゃんって呼んでて、いつも助けてくれる大切な親友。


ここ、春崎学園に入学してから1ヶ月。


ずっとこんな調子。


話したこともないような人から嫌な視線を向けられる。


目を合わせたくなくて、下を向いて過ごしてる。