それにビクッと身体が跳ねた蘭に、モヤモヤした。


すぐに耳まで真っ赤になった蘭を見て、蘇ったのは、おみくじの文字。


『相手を想った行動を』


相手を想った行動……。


「桜玖、俺、今日屋上で食べる」


「じゃあ、俺も……」


桜玖が何か言っていたが今の俺には、聞こえず、1人屋上へ登った。


思い出すのは、さっきの光景。


俺以外にあんな顔、見せんなよ……。


蘭が赤くなるのは、俺にだけだと思ってたのに。


俺以外のやつに……。


ああ、嫉妬か。


ふっと冷静になる。


蘭は、俺よりも兄貴の前で笑う。


初詣に行った日、兄貴に言われた言葉を思い出す。


『蘭ちゃんが好きなんだ。蓮の彼女だって知ってるし、無理に奪うつもりもない。
でも、もし蘭ちゃんが俺といる時の方が楽しいって言ってくれたら、その時は遠慮しない』