甘いものがそんなに得意じゃない俺は、ご飯系のクレープを食べた。


それから適当に回ってると、すぐに約束の時間になった。


待ち合わせ場所に現れた山内さんと桜玖は、大きめの袋を抱えていて、重たそうだった。


満喫、できたみたいだな。


電車に乗って、学校前の公園まで歩くと俺は蘭を、桜玖は山内さんをそれぞれ送っていくことになった。


マフラーを引っ張り上げても白い息が漏れる。


隣の蘭も寒そうにしてる。


冷たそうな手を掴むと、そのまま俺の服のポケットに手を入れた。


それに一瞬驚いた顔をした蘭は、俺を見てすぐに笑顔に変わった。


俺もつられて笑顔になる。


2人の間に会話なんてない。



でも、どこかそれが心地いいのは、なんでだろうな。


蘭の右手は、俺のポケットの中に、左手はぬいぐるみを抱えている。


白い息を吐きながら2人で歩く道はちょっと暖かかった。