笑った柊さんにそう言うと、話が移り変わる。


「そういえば、俺、次の恋、見つけられたよ」


「次の、恋……」


どうして、突然。


「えー、忘れた?蘭ちゃん、振られて落ち込んでた俺を慰めてくれたじゃん!」


あっ……。


「よかった、です」


前に、進めたんだ。


「忘れてたのにー?」


「それは、すみません」


そう言った私に柊さんが笑った。


つられて、私も笑顔になる。


「蘭……」


柊さんに耳元で囁かれて、ビクッとはねる。


上原くんの声に、似てる。


そう考えた途端にじわじわと頬が熱くなった。


「あ、俺、友達待たせてるんだった。じゃあね」


私の反応を見て、柊さんは中庭から出ていってしまった。


「蘭ちゃん」


入れ替わるように中庭に入ってきたのは、杉本くんだった。