運命の一夜を越えて

そろそろ戻らないと・・・


鏡の前でいろいろと考えを巡らせてしまった。

私はぱんぱんと自分の両頬をたたいてから、扉を開けた。


「大丈夫?」
そこには男性がひとり立っていた。
「はい」
私は再び愛想笑いを浮かべてその男性に頷く。

「それ」
その男性は私の方を指さす。
失礼な人だ。人を指さすなんて。

少し苛立ってつい真顔になりそうになる。

「それ、嘘の笑いだ。」
当たり前だろ。
心で突っ込みを入れながら私はモードに入る。

名付けて”嘘つきモード”。