運命の一夜を越えて

そんなことを考えながら私もベンチの背にもたれかかる。

正直座っていることだってしんどい。
できれば目を閉じて横になりたい。

何とか意識を保っていることに集中していると、「ほら」と不意に肩を抱き寄せられて、私の弱っている体は簡単に彼の方に傾いた。

「ちょっ・・・ゴホッゴホッ・・・・」
気付けば私の体は彼の体にすっぽりとおさまってしまっている。

離れようと体に力を入れても、彼の強い力に逆らえずに、私は離れられない。

「今はさ、どうだっていい。」
「?」
背中に回されている彼の手は私を支えようと、守ろうとしてくれていることが伝わる。
「今は何にもかんがえないで、体を回復させることだけ考えろよ。」
その声にはこれ以上ないくらいの優しさが込められていた・・・。