運命の一夜を越えて

【今まで大きな病気にかかったことがありますか】
という問診には・・・【いいえ】とうそをついた・・・

「少し待つみたいなんだ。」
受付から戻ってきた彼はそう言って私の隣に座った。

「よかったら寄りかかっていいよ?」
そう言って私の方を見る彼。

「もう・・・大丈夫なんで・・・ゴホッ・・・けほっ・・・」
ここまでくればあとは大丈夫だ。何時間かかるかもわからないし、そこまで迷惑はかけられない。

帰りはタクシーを呼べばいいし。

彼に向かってそう言うと彼は少し考えてから「じゃあ、診察に呼ばれるまで一緒にいる」と言ってベンチの背もたれに背中をつけた。

・・・診察に早く呼ばれないかな・・・・